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2019年1月15日 (火)

栄養教室 「脂質異常症の食事療法」

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今回の栄養教室は「脂質異常症の食事療法」というテーマでお話しさせていただきました。脂質異常症の改善に取り組んで見える方は大勢いらっしゃいます。原因は様々です。家族性による遺伝、生活習慣、暴飲暴食、肥満。それらに伴う糖尿病、肝機能障害、腎機能障害。食事以外に運動不足、多量のアルコール、ストレス、喫煙など、原因と言われるものにはきりがありません。

脂質異常症とは血液検査でLDL・HDLコレステロール、中性脂肪などが基準値を大幅にはずれた状態です。外れた数値が長期にわたることで血液に含まれた脂質がドロドロになり、血栓となり血管を細くしてしまいます。血栓が増えてしまうことで動脈硬化を引き起こしやすくなります。

近年の研究によると血液中の脂質の数値が正常範囲であっても、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの命に係わる病気になる方が多くみられることがわかりました。基準値内だけではなくバランスが大切ではないかと言うことで「LH比」が注目されています。LDL(悪玉)コレステロールをHDL(善玉)コレステロールで割り、その数値によっておおよその動脈硬化の進行度がわかるものです。

1.5以下は血管内がきれいな状態。                 

Fig11.6以上~2.0未満は動脈硬化が疑われる状態。

2.0以上は血栓が出来ている可能がある状態。

というように判定されますが、付随して投薬があるか、複数の疾患を伴っていないかによっても判断するようになりました。

Fig2 血液検査の結果が基準値内であっても、一度LH比や該当項目を参考に自分の状態を知ることをお勧めします。

 今回の試食は冬に美味しくなる大根を使った「大根ご飯」と「さわら」を使った料理です。「さわら」は漢字では「鰆」と書くので春に旬を迎える魚と思う方が多いと思いますが、春に旬を迎えるのは九州地方で徐々に北上して旬を迎える魚です。東海地方は冬の今が旬となる魚です。煮つけ、焼き、揚げとどの料理法も万能な魚です。今後のレシピに加えてください

本日の試食

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2018年12月 7日 (金)

栄養教室 『腸内環境を整える食事』

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今回の栄養教室は『腸内環境を整える食事』についてお話しました。みなさん腸内ケアを行っていますか?
腸は食べる物を消化するだけでなく、からだに良いものと悪いものを区別し、有害なものは排除するといった仕組みがあります。腸内環境を整えることで、ダイエット効果や美肌効果、免疫力を高めたり、便秘や下痢の改善効果、花粉症の軽減効果などあります。人の腸内には、多種多様な細菌が生息しており、小腸から大腸にかけて、様々な細菌が種類ごとにグループを形成してまとまっています。腸内細菌には、善玉菌と悪玉菌、日和見(ひよりみ)菌の3種類があり、それぞれ作用やからだへ与える影響が異なります。善玉菌は悪玉菌の侵入や増殖を防いだり、腸の運動を促すことによって、お腹の調子を整えます。悪玉菌は有害物質を生成し、腸内腐敗を促進させます。日和見菌は、腸内の善玉菌や悪玉菌の優勢な方に同調して作用します。それぞれの菌の割合は善玉菌2:日和見菌7:悪玉菌1で腸内に生息していることが望ましいと言われています。 腸内環境を整えるために、プロバイオティクス(善玉菌やそれらを含む食品)を摂るようにして下さい。ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌、納豆に含まれる納豆菌、漬物やキムチ、しば漬けなどに含まれるラクトバチルス・プランタラムなどがそれに該当します。そしてプロバイオティクスの働きを腸で助けるプレバイオティクスを摂るようにして下さい。プレバイオティクスは、善玉菌のえさとなる食物繊維やオリゴ糖のことです。食物繊維は『水溶性食物繊維』と『不溶性食物繊維』に分かれ、水溶性2:不溶性1で摂ることが理想とされています。 水溶性は海藻やこんきゃくなど。不溶性は切干大根やきのこ、玄米などに含まれています。また水分補給、油などのビタミンE、玄米や豚肉などのビタミB1を意識して食べるようにしましょう。食事だけでなく、適度な運動や朝食をしっかり摂り、朝トイレに行く習慣を作ることも大切です

本日の試食です。1品目は「豚肉としめじ味噌チーズ炒め」です。味噌やチーズには善玉菌が多く、豚肉のビタミンB1は腸の動きを調整してくれるような働きがあります。

2品目は「キャベツとツナ豆サラダ」です。キャベツや大豆は食物繊維が多く含まれています。善玉菌を増やす助けになります。 是非自宅で作ってみて下さい♪

ぶたにくとしめじ味噌チーズ炒め

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キャベツとツナ豆サラダ

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2018年11月12日 (月)

栄養教室「低栄養を予防する食事~やせすぎ注意~」

今回は低栄養を予防する食事としてお話をさせて頂きました。

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では低栄養とはどのような状態のことを言うのでしょうか?それは、食欲低下、食事が食べにくいことで徐々に食事量が減り、身体を動かすために必要な「エネルギー」、筋肉・皮膚・内臓などをつくる「たんぱく質」が不足する、このような状態を低栄養といいます。

特に65歳以上の高齢者の女性における低栄養傾向の者の割合は、この10年間で有意に増加していると言われています。

低栄養は、食事量が減少することから始まります。食事量が減少する原因として、高齢夫婦世帯や独居世帯によって、毎食の食事作りが大変、1人だから簡単に済ませる、経済的な問題でお肉、お魚、野菜などを買わないといった傾向があること、味覚や嗅覚の低下噛むこと、飲み込む機能が低下する腸の働きが低下して便秘になったり、空腹感が起きにくくなったりすることがあります。そうなると、体力がなくなり、活動量が減り、さらに食欲がなくなって食事量が減るといった悪循環に陥ります。

低栄養状態になると次のようなことが体におこります。

  1. 筋肉量が減る、筋力が落ちる
  2. 骨がもろくなる
  3. 細菌やウイルスへの抵抗量が低下する
  4. 体力が低下する
  5. 認知症の発症に影響する

低栄養と判断する基準は次のような項目があります。みなさんは大丈夫でしょうか?

【身体計測】

・体重が6か月間で2-3kg減った。または、1~6ヶ月間の体重減少率が3%以上

・BMI18.5未満

【血液検査】

・アルブミン3.5g/dl未満

・総コレステロール 150mg/dl未満

・ヘモグロビン 男性12.7g/dl 女性11.6g/dl以下

このような低栄養を予防するには、食事ではどのようなことに気を付ければ良いでしょうか?ポイントを5つ挙げてみました。

  1. 1日3食食べること。
  2. 肉魚卵豆腐といったたんぱく質食品を1食に1品は食べること。
  3. 野菜や果物は1日に2品以上は食べること。
  4. 作ることがめんどうな時には、宅配食、半調理品や市販の調味の素も使用してみる。
  5. 栄養補助食品を利用してみる。

 

食事は1食でも抜くと、残りの食事だけで必要な栄養を取ることは難しくなります。分けて食べることは栄養を必要量摂るうえでも大切なことです。たんぱく質食品は1食に1品を食べるようにすると必要量が摂りやすくなります。また、野菜を食べるようにしてください。食物繊維やビタミン、ミネラルを摂ることができます。市販されている調味料の素も塩分が多すぎず使いやすものがあります。カット野菜や温めるだけで食べられるレトルト食品も利用できるものがあります。今はドラッグストアがたくさんありますので、そういったところには栄養補助食品が売られています。食欲がないときにはそういったものを使うのも方法です。また、献立に一工夫することでエネルギーやたんぱく質も増やすことが可能です。

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たんぱく質という栄養は低栄養を予防するうえで大切な栄養素です。必要量については国から基準が示されています。

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今回のお話の注意点は腎臓病、肝臓病などでたんぱく質をたくさんとってはいけない病気がある方については、今回のたんぱく質の量は当てはまらないということです。そういった病気をお持ちの方は必ず医師や管理栄養士に指示された量を守ってください。

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2018年10月18日 (木)

栄養教室 「中性脂肪・コレステロールを下げる食事」

今回の栄養教室は「中性脂肪・コレステロールを下げる食事」というテーマでお話しさせていただきました。

多くの方は年に一度健康診断を受けますよね。医師からこんなことを言われた方多いのではないでしょうか。

「中性脂肪とコレステロール値が高いですね」こう言われると「私って太ってるのね」と思いますよね。それは間違いです。体格指数が標準でも、2つの検査値が高い方は多くいらっしゃいます。体系によるものではなく、基準値内であってもその「バランス」が重要である事を是非知って頂きたいと思います。

近年、診断の目安として「LH比」が重視されてきました。LH比とは、「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」の事です。たとえばLDLコレステロール値135mg/dl、HDLコレステロール値45mg/dlの場合、「135÷45=3」でLH比は3.0となります。 LDLコレステロール値が正常であっても、HDLコレステロール値が低いと心筋梗塞を起こす例が多いため、予防には両方のバランスを示す数値(LH比)が参考されるようになりました。

LH比が2.5以上だと動脈硬化や血栓のリスクが高いため、「ほかの病気がない場合は2.0以下に」、「高血圧や糖尿病がある場合、あるいは心筋梗塞などの病歴がある場合には1.5以下に」を目安とする病院が増えています。

従来は悪玉コレステロール(LDL)が少なければよいという考え方でした。しかし、近年になってLDLコレステロールが140未満の人でも心筋梗塞になるケースがあり、また、HDLコレステロールが高い人でも、まれに動脈硬化を起こすことが分かってきたことにより、これまで推奨されてきた基準値内でも動脈硬化になる可能性があることを知って頂けたらと思います。

日頃からの食生活は生活習慣病予防につながります。一汁三菜に果物・乳製品を加え、間食・飲酒などの嗜好品は適度に楽しみ、健康に留意して頂ければ幸いです。

栄養教室の様子

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 今回の試食は、一品は参加者の方からリクエストがあり「白和え」を。もう一品は「蛋白質も大丈夫!高野豆腐の肉巻」にしました。白和えは年配の方は好んで食べますが、小さなお子さんは敬遠しがちな料理です。三世代同居のご家庭でも食べられるよう調味料に一工夫してみました。蛋白質は人体の構成に必要な食材です。チーズと大葉を使うことで調味料も控えることが出来ます。ぜひ一度お試しください。

本日の試食

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2018年9月12日 (水)

栄養教室「高血圧の食事」

本日は高血圧の食事のお話しをさせて頂きました。

高血圧に食塩過剰摂取が関係しているのはご存じかとおもいますが、それ以外にも気を付けるとよいことがあります。

まずは、高血圧には大きく分けて2タイプあるのをご存じでしょうか。①本態性高血圧②二次性高血圧です。ほとんどの方が①の本体性高血圧であります。二次性高血圧とは、ホルモンの異常分泌、腎臓疾患、薬剤の副作用などで起こるものを言います。

本態性高血圧の原因は、「はっきりしない」というふうにいわれますが、様々な原因、例えば食塩、アルコール、喫煙、肥満、ストレス等々が複合的に関係しているということなのです。

では、減塩だけじゃない高血圧予防のポイントとはなんでしょうか。図4-1を見てください

これは高血圧のガイドラインから抜粋したものです。減塩のほかにもDASH食、減量、運動、節酒による降圧効果の程度が示されています。

減塩と同じくらいの効果があるのが減量です。肥満のあるかたはBMI<25を目指すとよいでしょう。肥満の方は摂取エネルギーの方が消費するエネルギーより多い状態なのです。

おなかは空いてないけどついおやつを食べてしまう、朝食は菓子パンである、ジュースや甘い砂糖入りコーヒーをよく飲む…といった習慣はないでしょうか?これらはエネルギー過剰につながりやすいので注意が必要です。

また、減塩よりも効果があるとされているのがDASH食です。これは米国において野菜,果物,低脂肪乳製品が豊富な食事パターン(飽和脂肪酸とコレステロールが少なく,Ca,K,Mg,食物繊維が多い)=DASH食の介入試験が行われ、降圧効果があったとされました。また、DASH食はNa利尿作用を有して、メタボリックリスクの軽減作用がある可能性が指摘されています。また、野菜や果物に含まれるカリウムという成分が食塩摂取過剰の血圧上昇作用にたいして拮抗作用があるといわれており、積極的な摂取を促す要因の一つとなっています。ただし、カリウムは腎機能低下のかた、透析患者さんには大変有害な栄養素です。そういった方にはこの食事療法は当てはまりませんので注意が必要です。

そのほかにも、1日30~60分の有酸素運動や、アルコールを減らすことが血圧を下げるのに有効であるとされています。アルコールは単回の摂取であれば血圧は下がりますが、長期に飲み続けると血圧は上昇に転じるとされています。飲酒量を80%ほど減ずると1-2週間のうちに血圧が下がったということも認められています。

このように、高血圧予防のためには減塩はもちろん、それ以外にもできることがたくさんあります。これらを組み合わせることでさらなる効果も期待できます。できそうなことから始められてはいかがでしょうか。

本日の試食は青梗菜ののりごま和え、鮭缶を使ったドライカレーです。

青梗菜はカリウムやカルシウムも豊富な食材です。醤油は少量だけにして、のりとごまで和えて風味よく仕上がります。

ドライカレーには、鮭缶を利用しました。最近は魚の水煮缶がよく売れているようですが、よく知られているさば水煮缶以外に、鮭水煮缶というものがあります。臭みが少なく、汁にうまみがあって利用しやすい缶詰です。塩分0であるカレー粉を利用して味付けをしました。このドライカレーはフィリングとして、餃子や春巻きに使ったり、ピザやパンに挟んで食べたりすることもできます。ぜひ試してみてください。

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栄養教室の様子

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♡本日の試食

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2018年7月13日 (金)

栄養教室 「脱!メタボ」

今回の栄養教室は、「脱!メタボ」についてお話しました。まず身長と体重からBMIを算出して頂きました。BMIは肥満や痩せを知る国際的な指標です。18.5~25未満は標準。25以上は肥満と判定されます。みなさんはどうですか?肥満の医学雑誌に、BMI30以上の人では、死亡率のリスクが増えるデータも出でいますので、太り過ぎには注意して下さい。

 食事で大切なポイントは、お菓子やアルコールなどはほどほどに控える、揚げ物や脂の多い肉は控える、ご飯やもちなど糖質の多い食品は摂り過ぎない、早食い、夜遅い食事に気を付けるなどが挙げられます。食事だけでなく、運動も取り入れて頂くと、基礎代謝量が増え、痩せやすく、リバウンドしにくい体を作ってくれるますので、体を動かす習慣を付けましょう。

 ダイエットは、食事制限を行うので長続きせず、リバウンドを繰り返す人がたくさんみえます。一大決心をしてダイエットを取り組んでいる人は、「甘い物は絶対に食べない」などという目標をたてますが、このような無理な目標は、失敗する可能性が高くなります。完璧主義の発想はやめ、できる範囲での目標をたて、継続的に行えるダイエットを行っていきましょう。

♡栄養教室の様子

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♡本日の試食です♪

1品目は「豚肉のしそ味噌炒め」です。豚肉は太りやすい食材と思われる方も多くみえると思いますが、エネルギー代謝を促すビタミンB1が多く含まれているため、部位(脂身の少ない位を選ぶ)や量を考えて食べて頂ければ、ダイエットの強い味方です。

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 2品目は「たこのマリネ」です。たこは低カロリーで蛋白質が豊富に含まれています。また肝臓や目の健康維持に必要なタウリンや抗酸化作用が強いビタミンEが多く含まれています。是非作ってみて下さい。

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2018年6月11日 (月)

栄養教室 「痛風・高尿酸血症の食事」

今回の栄養教室は「痛風・高尿酸血症の食事」というテーマでお話しさせていただきました。

痛風を引き起こす尿酸の正体は「プリン体」と言われるものです。人体を構成する「細胞」は常に破壊、再生を繰り返しています。プリン体は破壊された細胞の老廃物です。ゆえに尿酸の80%は細胞の老廃物であるプリン体となっており、食事によるプリン体は20%とされています。

女性ホルモンには腎臓から尿酸の排泄を促す働きがあるので、痛風は圧倒的に男性に多い病気とされています。そこで少しでも痛風の原因とされるプリン体を含む食品の摂取を減らすことが、発症を防ぐポイントとなります。

プリン体を含む食材は、旨み(=細胞)がギュッと詰まっている食べ物です。代表的な食材は、いわし・カツオ・魚の干物・大正エビ・牡蠣等の魚介類。お肉類では鶏レバー等の内臓系になります。これらの食材は旨み(=細胞)がギュッと詰まっているのでどうしても美味しい食材です。ご飯のお供にぴったりなのでついつい箸が進みますが、食べ過ぎに注意し暴飲暴食は避けましょう。

血中尿酸値の基準値は7.0mg/dl以下です。また、最近の研究では女性は男性より低い血中尿酸値で体に悪影響が出ることがわかってきました。女性は血中尿酸値が6.0mg/dl台になった時点で、一度専門医を受診することをお勧めします。

尿酸値を下げるコツは・・・

  1. アルコール自体が尿酸を生産するので飲酒量に注意しましょう。
  2. 野菜は尿酸を排泄しやすくしてくれるので積極的に食べましょう。
  3. 甘いスイーツも尿酸を生産するので食べ過ぎに注意しましょう。
  4. 水を多飲することは尿酸値を下げるわけではないですが、上昇を抑えることができ、結石の予防になります。

痛風は食事による影響が20%と割合としては低いですが、日頃からの食生活は痛風以外の疾患予防につながります。食べてはいけない食品はありません。食べる「量」と「質」が大切です。バランスの良い食事、腹八分目を心がけ、健康に留意して頂ければ幸いです。

 今回の試食、和え物は酢味噌でさっぱりと、炒め物はボリュームがあるのにカロリー控えめに仕上げてみました。今回のテーマは「お酒は控えめに、お供にはお野菜を・・・」です。ぜひ一度お試しください。

栄養教室の様子

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試食

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2018年5月11日 (金)

栄養教室「糖尿病の食事療法~ゆるやかな糖質制限食~」

栄養教室の様子

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今回の栄養教室は「糖尿病の食事療法~ゆるやかな糖質制限食~」についてお話させて頂きました。

 現在、世界の糖尿病患者数は2億3000万人以上と言われています。これは成人全人口の6%です。今後20年間に3億5000万人に増えると予測されており、糖尿病の増加を食い止めるためにも日々の食事や運動療法が大切となります。

 当院では、数年前から糖尿病患者さんに対して糖質制限食という食事療法を導入しています。
糖質制限食とは、ご飯やパン、麺などの糖質の多い食品を控え、食後の血糖上昇を防ぐ食事療法のことで、肥満、中性脂肪の高い患者さんにもおすすめしています。重症度に合わせて、糖質が多い食品の控える量を調整していますので、カロリーコントロール食より取り組みやすいという意見が聞かれます。糖質の多い食品は、菓子類やジュース類、ご飯や麺類などの主食、芋類や果物、とうもろこしや砂糖などがあります。菓子類やジュース類は血糖値以外にも、中性脂肪やコレステロールが上がりやすいので、特に控えてほしい食品となります。
ご飯やパン、麺類などの主食はほぼ毎食食べるので、現在より量を減らすことで血糖コントロールが良くなります。主食を減らしているのに血糖値が下がらない人は、芋類や小豆、アルコール、菓子類、果物などが摂り過ぎていないか確認する必要があります。外食時には、味噌煮込みうどんやカレーライスや丼物、お寿司などは糖質がたくさん入っていますので、注意して下さい。
 糖質制限食は、腎臓が悪い方や肝硬変の方は蛋白質制限が必要となり、膵炎の方は脂質制限が必要となるので、蛋白質や脂質を多く摂ることになる糖質制限には注意が必要です。また経口血糖降下剤を内服されている方やインスリン注射を打っている方も低血糖を起こす可能性がありますので、糖質制限食を行う際は、担当医師や当院の栄養士に相談して下さい。現在の食生活からご飯やパンなしで長期に食事療法を続けることは難しいと思います。全く糖質をなくすのではなく、糖質の多い食品を少し減らし、その分植物性脂質や鶏肉、魚などの動物性脂質をバランスよく摂って頂き、無理なく食事療法を続けていくことをおすすめします。
 
本日の試食2品紹介します♪
一品目は、鶏肉のカレー粉焼きです。味付けは鶏肉にカレー粉と塩を振ったシンプルな料理ですが、糖質は0.1gと少なくなっています。
二品目は、アスパラサラダです。サラダにはドレッシングをかけて食べますね。ドレッシングは意外に糖質が多く入っている商品があります。今回は醤油や酢、オリーブオイルなどを使用したドレッシングを作り、糖質量を控えました。サラダにはしめじが入っています。食物繊維が多いほど血糖値は上がりにくいと言われていますので、サラダにきのこ類を入れて頂くことも良いですよ♪
 
本日の試食

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2018年4月17日 (火)

栄養教室「腎臓病の食事」

本日は腎臓病の食事と題して説明させていただきました。

腎臓病といっても様々ありますが最近増えているのは、糖尿病や高血圧といった生活習慣病から起こる慢性腎不全(CKD)です。 

糖尿病を原因とする「糖尿病性腎症」が急増しており、透析導入となる原疾患で最も多くなっています。慢性腎不全は心血管系疾患のリスクにもなるため注意が必要です。

慢性腎不全(CKD)の診断基準はもともとの疾患を問わず、次の2つの所見のうちの

いずれか、または両方が3カ月以上続いた場合とされています。

1、尿検査、血液検査、画像診断などで腎障害が明らか

2、糸球体ろ過量(GFR)が60mL/分/1.73m2未満 

慢性腎不全に食事療法が必要な理由は何でしょうか。

腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として体の外に排出します。弱った腎臓を保護するためには過剰な負担をかけないことが必要です。そのため腎臓の能力に見合った食事をする必要があります。 

腎臓病の食事療法の3本柱は…

  1. 減塩
  2. たんぱく質の摂りすぎを防ぐ
  3. エネルギーを十分にとる

<減塩する理由>

摂りすぎた塩分は、むくみや高血圧の原因となりさらに腎機能の低下を起こしたり、心不全を起こす原因になったりもします腎臓の機能が正常であれば、余分な塩分は腎臓から排泄されます。しかし腎臓病では、この機能が低下してしまうため、体に塩分がたまり、高血圧の原因の一つとなります。高血圧が続くと、腎臓の血管が障害され、腎臓の機能低下をさらに進めてしまいます。

<たんぱく質を減らす理由>

たんぱく質からでる老廃物を減らすことで腎臓の仕事を減らします腎臓の機能が低下してくると、たんぱく質が代謝されてできる老廃物(燃えカス)が腎臓から排泄されず体内に蓄積するようになり、腎機能の悪化や尿毒症などを引き起こします。そこで、老廃物の蓄積を少しでも抑え腎機能の悪化を抑制するために、医師の指導の下で適切なたんぱく質量にすることが大切です。

<エネルギーを摂る理由>

たんぱく質を減らしただけだと同時にエネルギーも減ってしまうので栄養不足となります。栄養不足状態が続くと、体内では体の組織を燃焼させて必要なエネルギーをつくりだします。この時に生じる老廃物が腎臓に負担をかけてしまいます。ですので、たんぱく質を減らした分は、油や炭水化物を利用してエネルギーを摂る必要があります。

さらに、慢性腎不全の進行具合によっては、血液中のカリウム値にも注意する必要があります。主治医よりカリウム制限について指示された場合にはカリウムの多い食品の摂りすぎに注意しましょう。

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本日の試食は、低たんぱくごはんをつかったキーマカレーとキャベツと菜の花のからし和えです。 

キーマカレーは煮込むカレーよりも早く調理ができます。汁気が少なく、水分管理が必要な方にもおすすめです。少ない量のルーでもケチャップとソースによって味がしっかり感じられます。 

菜の花のからし和えは菜の花とキャベツを茹でてカリウムを減らします。

チューブの練りからしは小さじ1で0.4g程の食塩が含まれているので注意してください。今回は塩分が含まれない粉辛子を使用しました。

栄養教室の様子

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本日の試食

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2018年3月13日 (火)

栄養教室 「脂質異常症の食事療法」

今回の栄養教室は「脂質異常症の食事療法」というテーマでお話しさせていただきました。

脂質異常症の原因に家族性による遺伝もありますが、生活習慣によって疾患になる方がほとんどを占めます。暴飲暴食による肥満からなるさまざまな病気。たとえば糖尿病、肝機能障害、腎機能症等です。食事以外に運動不足、長期にわたる多量のアルコール飲酒、ストレス、喫煙なども原因の一つとされています。

脂質異常とは血液検査でコレステロールや中性脂肪などの脂質の量が基準値を大幅にずれた状態です。進行すると血液に含まれた脂質によって血液がドロドロになり、血管が細くつまったりするので動脈硬化を引き起こしやすくなります。

近年血液中の中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールなどが正常範囲であっても、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの命に係わる病気になる方が多くみられることがわかりました。そこでLH比といってLDL(悪玉)コレステロールをHDL(善玉)コレステロールで割り、その数値によっておおよその動脈硬化の進行度がわかるようになりました。

1.5以下は血管内がきれいな状態。

1.6以上~2.0未満は動脈硬化が疑われる状態。

2.0以上は血栓が出来ている可能がある状態。

というように判定されます。血液検査の結果が基準値内であっても、一度LH比を計算してご自分の状態を知ることをお勧めします。

脂質異常症の治療の基本は食生活の見直しです。野菜の摂取不足、脂身の多いお肉、甘い物(糖分)、魚卵(たらこ等)、スナック菓子。これらを好んで食べていませんか?一度振り返ってください。

脂=お肉と考える方が多いですが決してお肉は悪い食材ではありません。お肉に含まれる「脂」は人体を構成する臓器=細胞を作る材料の一つです。質=赤身と脂のバランス、量=1人分を考慮し、食べ過ぎに注意して下さい。

教室でもお話しましたが食生活のお勧めは、やはり日本食です。一汁三菜に、果物、乳製品をプラスして、バランスのとれた食事が宜しいと思います。欧米食も良い面もありますが、歴史あるおもてなし料理「和食」を取り入れて頂ければ幸いです。

 今回の試食は手軽なツナ缶を使い、DHAを取り入れた炊き込みご飯と、ひじき、えのき茸による食物繊維たっぷりのサラダです。もう一つのテーマ「庖丁をなるべく使わないメニュー」にしました。ぜひ一度お試しください。

栄養教室の様子

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本日の試食

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