栄養教室「腎臓病の食事」
本日は腎臓病の食事と題して説明させていただきました。
腎臓病といっても様々ありますが最近増えているのは、糖尿病や高血圧といった生活習慣病から起こる慢性腎不全(CKD)です。
糖尿病を原因とする「糖尿病性腎症」が急増しており、透析導入となる原疾患で最も多くなっています。慢性腎不全は心血管系疾患のリスクにもなるため注意が必要です。
慢性腎不全(CKD)の診断基準はもともとの疾患を問わず、次の2つの所見のうちの
いずれか、または両方が3カ月以上続いた場合とされています。
1、尿検査、血液検査、画像診断などで腎障害が明らか
2、糸球体ろ過量(GFR)が60mL/分/1.73m2未満
慢性腎不全に食事療法が必要な理由は何でしょうか。
腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として体の外に排出します。弱った腎臓を保護するためには過剰な負担をかけないことが必要です。そのため腎臓の能力に見合った食事をする必要があります。
腎臓病の食事療法の3本柱は…
- 減塩
- たんぱく質の摂りすぎを防ぐ
- エネルギーを十分にとる
<減塩する理由>
摂りすぎた塩分は、むくみや高血圧の原因となりさらに腎機能の低下を起こしたり、心不全を起こす原因になったりもします腎臓の機能が正常であれば、余分な塩分は腎臓から排泄されます。しかし腎臓病では、この機能が低下してしまうため、体に塩分がたまり、高血圧の原因の一つとなります。高血圧が続くと、腎臓の血管が障害され、腎臓の機能低下をさらに進めてしまいます。
<たんぱく質を減らす理由>
たんぱく質からでる老廃物を減らすことで腎臓の仕事を減らします腎臓の機能が低下してくると、たんぱく質が代謝されてできる老廃物(燃えカス)が腎臓から排泄されず体内に蓄積するようになり、腎機能の悪化や尿毒症などを引き起こします。そこで、老廃物の蓄積を少しでも抑え腎機能の悪化を抑制するために、医師の指導の下で適切なたんぱく質量にすることが大切です。
<エネルギーを摂る理由>
たんぱく質を減らしただけだと同時にエネルギーも減ってしまうので栄養不足となります。栄養不足状態が続くと、体内では体の組織を燃焼させて必要なエネルギーをつくりだします。この時に生じる老廃物が腎臓に負担をかけてしまいます。ですので、たんぱく質を減らした分は、油や炭水化物を利用してエネルギーを摂る必要があります。
さらに、慢性腎不全の進行具合によっては、血液中のカリウム値にも注意する必要があります。主治医よりカリウム制限について指示された場合にはカリウムの多い食品の摂りすぎに注意しましょう。
本日の試食は、低たんぱくごはんをつかったキーマカレーとキャベツと菜の花のからし和えです。
キーマカレーは煮込むカレーよりも早く調理ができます。汁気が少なく、水分管理が必要な方にもおすすめです。少ない量のルーでもケチャップとソースによって味がしっかり感じられます。
菜の花のからし和えは菜の花とキャベツを茹でてカリウムを減らします。
チューブの練りからしは小さじ1で0.4g程の食塩が含まれているので注意してください。今回は塩分が含まれない粉辛子を使用しました。
栄養教室の様子
本日の試食